HIGASHIYAMA
この計画は、都心部に近い住宅地に設計した夫婦のための住宅である。敷地は幹線道路から一本入った住宅街に位置し、東4m道路に面した52㎡の狭小敷地で、周辺は2〜3階の住宅、マンション、アパートが密集した地域である。クライアントは住宅密集地における住宅に対して、防火、防音と同時に光と通気を要望した。特に防火と防音を考慮して、外壁をRC造、内部を鉄骨造とした入れ子の空間構成とした。寝室、書斎、水廻りを閉じたボックスとし、コンクリートの外殻の中に分散するように配置し、それをガラス階段によって繋ぐ。そして、そのヴォリューム同士の空隙に外部空間を上部から挿入することで、光と通気を建物下部まで届くように計画した。5.4mx5.4mx8.4mのコンクリートの外殻によるワンルームに様々な構成要素を浮遊する配置が、より空間に奥行きを与える。この立体的な構成に、多方向への視線の検討を重ね合わせ、部分の多様な関係をつくり出している。部分の関係性を集積した空間は、平面や断面にズレが生まれ、動線に伴う視線のヌケが創り出すシークエンス豊かな空間となる。抑揚のあるスケールによって、その特徴をより増幅したシーンが生まれる。ワンルーム空間を緩やかに分節しながら各スペースを繋ぎ、多様なヴォリュームと内部化した外部を囲むガラスが輻輳する内部空間をつくる。そして、ひと繋がりでありながら、多様なシーンと距離感をつくり出す立体連鎖空間となる。
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