HITACHINAKA
この計画は、住宅に併設されるアトリエ兼ギャラリーである。敷地周辺は、住宅と畑が点在し、北側には工場団地、北西には幅16mの比較的交通量の多い幹線道路に面する典型的な郊外の風景である。テキスタイル作家のクライアントは、母屋の工房が手狭になり、定期的な展覧会を行うため、既存の駐車場の上にアトリエ兼ギャラリーのスペースを要望された。このスペースは、日常的にはアトリエとして使用し、展覧会の会期にはギャラリーとして使用するため、アトリエとしての光環境とギャラリーとしての壁面が必要であった。そのため、コンパクトなヴォリュームに出来るだけ大きな展示壁面を確保し、展示壁には拡散光だけが入る断面計画を考えた。5.4mx5.4mx5.4mの建物ヴォリュームは、20度下方が開いた丸柱を配置し、鉛直力と地震力を同時に負担することで軽やかに浮かせることを可能にした。丸柱に支えられた立方体のボックスの中に入れ子のように吊られたロフトのヴォリュームが、トップライトから入る自然光を拡散光にし、高さ4.8mの4辺の壁を照射する。この建築は、最小限の要素で構成されたシンプルな断面に、抑揚のあるスケールを内部空間に内包する。そして、街のスケールに浮いたシンプルな建物の外観は、郊外の風景のランドマークとなるだろう。
クリックすると拡大します。