KANNOU-Ⅰ
この計画は、東京西部に建つ30代のデザイナーご夫婦のための住宅と事務所である。敷地は、私鉄の線路脇の幅2~3m、長さ48mの極端に南北に細長い敷地形状で、東側は2m通路を挟んで隣地、西側は線路を挟んで畑が広がっている。クライアントは、特殊な敷地条件を活かして、仕事場であるデザイン事務所と住居の豊かな空間を要望された。敷地の幅が狭く、長手断面によって空間が規定されるため、長手方向の空間が多様に連続するように考えた。線路脇の騒音を考慮し、建蔽率が緩和される地階を積極的に取り入れた断面構成を採用した。住居は南側に配置し、事務所は北側の地階に配置し、それぞれのエントランスは分け、住宅と事務所のバッファーゾーンとなる外部空間を中央部分に取込んだ。居住空間は、細長いヴォリュームに、スラブを様々なレベルに設定することで、空間を緩やかに分節しながら各スペースを繋げている。多様なスラブと外室を囲むガラスが輻輳する内部空間は、ひと繋がりの空間でありながら、多様な距離感をつくり出す縦列空間となった。特殊な敷地条件がつくりだすコンクリート打放しのリニアな建物の外観は、周囲のスケールからは土木スケールにも感じられる。一直線に延びる空間は、クレパスのようなプロポーションの短手断面が45m連続することによってのできる長手方向のシークエンスによって特徴づけられる。
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