KANNOU
この計画は、40代のクライアントのためのガレージハウスである。平地から一気に20m程上った丘の頂上に位置する敷地は、東京湾と富士山を望む眺望のよい立地である。前面道路が緩くカーブしている細長い三角形の敷地は、南東側に高さ10mを超える樹木が広がり、南西側は公園に隣接する。閑静な住宅地と森の境界に位置するため、住宅地でありながら緑に囲まれた別荘地のような環境である。建物は、南東の森に長く面する敷地に細長いヴォリュームを伸びやかに配置した。居住スペースが森に対してどのように開くかを検討し、樹木の最もきれいな樹上部が居住空間に広がるように床と開口部のレベルを設定した。長さ16m、幅3m、高さ4mのリニアな居住空間は、ガレージ、寝室、ロフトのレベルを変えて配置し、すべての空間が繋がるように断面を構成した。この住宅は、居住スペースとガレージスペースがほぼ同じ面積という特殊な設計条件である。そのため、人、車、バイクの様々なスケールに対応したプロポーションが織りなす空間は、シンプルでありながら多様な空間ヴォリュームを創りだす縦列空間となった。
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